〜ファンタジー小説30のお題〜

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『9:的外れ(おまけ)』

<セリナ視点>

 あたしたち、ついに出発したのっ。目的地はジルラ国! わ〜い♪ ブ〜ちゃん以外の馬アリエスも増えたし、テントも 「セリナ用」 って用意してくれたんだよ。 そして何と、商人エリちゃんも仲間入りなの! やった〜♪
 でも食料袋からエリちゃんが登場した時は、ビックリしたよぉ。
「旅の保存食が〜!」
 ってアベルさんは悲鳴を上げてた。入っていた食べ物を全部食べ尽くして、代わりに中に潜んでいたみたい。エリちゃんってば、知能犯。でも袋から出られなくなってもがいてた。面白いね〜♪
 今日キャンプする場所は、水辺の近くなの。アベルさんとブ〜ちゃんは、狩に出かけてる。あたしは、テントを張ったり寝床の準備をしたり、火の準備をしたりしながら、キャンプ場の番だよ。
 エリちゃんは、火の前から動かない。ブ〜ちゃんに水の中に放り込まれて全身ずぶ濡れなの。
 エリちゃんが来てくれて、本当に嬉し〜。同性の仲間が欲しかったんだもん。独立して仕事してた尊敬できる人だし、女の子同士で恋の話もできでしょ〜♪
「エリちゃんは、恋人いるの?」
 枯れ木を集めながら話しかけると、エリちゃんはあたしを見た。
「当然や」
「おおおー!」
 わ〜い♪ 恋バナができる〜♪
「ねーねー。エリちゃんの恋人って? 街の人?」
「別れてきたけどな」
「え〜?」
「もう次の相手は見つかっとるし。二股かけるのはよくないやろ?」
「ほおお! だれだれ?」
「ぐふふふ」
 エリちゃんは、悪徳商人みたいな笑い方をした。
「アベルはんや」
「ええええ!」
 うそー! アベルさん?
「アベルさんは、セリナのだよ! ブ〜ちゃんもだけどっ」
「ウチが木から落ちた時、抱きとめてくれたんや。ウチに惚れとる証拠や」
 ふえ〜〜〜!
「アベルはんに聞いてみ? 『エリザベスが気になるやろ』 ってな」

 少しして、アベルさんは魚や貝を、ブ〜ちゃんは小動物を仕留めて戻ってきたの。
「お帰りなさ〜い」
 二人を出迎えて、あたしはドキドキしながらアベルさんに質問した。
「あのね、アベルさん。エリちゃんが気になってるって本当?」
 すると驚いた顔でアベルさんは、
「エリちゃん? ああ、エリザベスか。……まあ、目が離せないかな」
 って答えたのー! するとブ〜ちゃんまでも、苦笑しながら、
「確かに」
 って言うの! アベルさんばかりか、ブ〜ちゃんまでも虜(とりこ)にしてるなんて。
 あう〜〜。男の人は、エリちゃんみたいにフクヨカな人が好きなのかなぁ。ううう、負けないもん。あたしも一杯食べて、フクヨカになるっ。

 そーそー。アベルさんがジルラ国の王都に連れて行ってくれるんだよ。ブ〜ちゃんがね、童話でしか知らなかった、王様やお姫さまもに会えるって教えてくれたの。
 すっごく楽しみ〜♪

<『9:的外れ』 完>


(To be continued.)


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